色をなくした世界
新しい年
海に来た雪乃はもう何も考える事ができなかった。


「和君・・・・和君・・・・和君・・・・」


何度呼んでも愛しい人から返事はこない。


泣いて泣いて化粧もぐちゃぐちゃ・・・冬の海はとても寒く、この世界に自分は一人ぼっちの様に感じた。



「もう・・・良いよね・・・・和君のところに行っても・・・・」


周りに迷惑かけていた。その通りだ。


和哉が死んでから自分は周りの人に心配と、迷惑しかかけていない。


「私がいなくても・・・世界は変わらない・・・・悲しむ人も・・・・」


梓や両親・・・・雄大の事も考える余裕は雪乃にはなかった。


ただ・・・ただ・・・・愛した彼の元に行きたかった。




靴を脱ぎ海に入れば、寒かったはずなのに冷たさを感じない。




このまま・・・苦しまずに彼の元に逝けたなら・・・・



「和君・・・・今逝くから・・・・待ってて・・・・」



足がガクっと崩れ・・・海に落ちる・・・和哉の元に逝ける・・・



そう思った時。
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