side:Miki Morimoto



「あのね、あのね!! イノがね、おねいちゃんのおきがえしたんだよ?」

大きな目をキラキラと輝かせ、女の子は自慢げにそう言った。


そっか……うん。

イノちゃんがあたしのお着替えをしてくれたんだ。


あたしは、胸の前で両手を拳にして嬉しそうに話す女の子に、うん、うん、と心の中でうなずいた。

すると、何かとんでもないことをこの女の子から告げられた気がして、全身からさあっと血の気が引いていく……。



――だって……だってね?

てっきりあたしの着替えをしたのは女の子のお父さん――つまりは黒髪で背が高くてカッコいいこの男の人だと思った。


いくら家庭を持っていたとしても異性には違いないその人に、会って間もないその人に下着姿やら裸を見られたと思ったんだ。


だから男の人を引っぱたき、『痴漢』呼ばわりした。

でも、でも実際は違ってて……。


女の子の言葉が正しければ、あたしはとても大きな間違いをしたということになる。

どうしよう!!


男の人は身に覚えがないことで突然引っぱたかれ、『痴漢』呼ばわりされたんだ。

そりゃ、とても怒るだろう。現にびっくりするくらい大きな声で怒鳴った。


あたしにも恐怖を覚えさせるほどの声で――……。


なにせあたしは我が家では一人娘で、父親から怒鳴られたことなんて一度もない。

異性に怒られ慣れしていないから、他人に大声を出され、怖いと思った。



それくらい、男の人はものすごく怒っているんだ。


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