先月、朝礼中に貧血を起こして倒れた事があった。

医務室のベッドで、浅い眠りの中感じたのは、おでこをなでる冷たい手。
その手が優しくて、すごく気持ちがよくて。


『―――ゆっくり休んで』


穏やかな心地いい声と、おでこに触れた唇。
寝てる間にキスするなんて、普通だったら絶対に怒るところだけど……、なんでだかそんな気にはなれなくて。

それどころか、すごく満たされた気持ちになっちゃって……、そのまま深い眠りに吸い込まれていった。

まるで、恋人が傍にいてくれているみたいな、そんな感じ。
少しのドキドキと、安心感。
そのおかげで、気持ちいい眠りに誘われた。

そして、目が覚めた時、私を覗き込むようにして微笑んでいたのが、沖田さんだった。


『大丈夫? 気分はどう?』
『あ……、はい。私……、貧血で?』
『そう』
『アナタが運んでくれたんですか?
あの、失礼ですけど、お名前伺っても……』
『あれ。知らなかった? 俺の事』
『すみません……』
『いや。
―――第一営業課の沖田っていうんだけど』


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