蜜色オフィス


それが、沖田さんとの始めての出会いだった。

第一印象は……、特になかったと思う。
ただ、この人が頭をなでてくれてたのかな、って、それが気になってただけで。

そして、しばらくの沈黙の後、沖田さんが言った。


『第二営業課の早川芽衣さんだよね。
……俺と、付き合わない?』


びっくりして、言葉がでなかった。
でも、何か答えなくちゃと思って、ベッドから上半身を起こす。


『あの……、でも、よく知らないし、申し訳ないんですけど、』
『すぐが無理なら、とりあえず、お試し期間でいいから』
『え?』
『1ヶ月、俺を試してよ。
それから判断して欲しい』
『……』
『今付き合ってる男がいないなら、それぐらい付き合ってくれてもいいと思うけど?
本気で好きなんだ』


お試し期間っていう提案に困惑していた私を、無理やり頷かせるみたいな口調だった。

だからっていうのもあるし、流されやすい性格もあるけど、断われなくて。

それに……。優しく撫でてくれた手が、気になって。
笑顔で見つめてくる沖田さんに、浅く頷いた。


それが、一ヵ月前の出来事だ。




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