「はあ」


学食のいつもの談話ソファにちんまり座り、手首から上、分厚く包帯を巻かれた左手を眺めて、柚は重たく溜息をついた。




「柚~!?」


訝しげに眉を顰めながら入ってきたのは、美也子。


「あ、美也子。おはよ」


「おはよじゃないでしょ?柚。どしたのその手!」


「うん。昨日バイト先で火傷しちゃって」


「はー。ドジだねぇ。っていうかそれって、泣きっ面にハチ的な?」


ニヤリ笑いながら、美也子は柚の向かいのソファにストンと腰を下ろした。


「いじわる。先輩のことはもう忘れろって言ったの、美也子の癖にー」


「あはは!ごめんごめん!何でかな、あんたってこう、つい虐めたくなるのよね~」


カラカラ笑う美也子を柚はぶすけて睨んでから、また小さく溜息を落とす。



「…れ?何その紙袋」


テーブル脇に置かれた紙袋に入った黒いネルシャツを目に止め、美也子はたずねた。


「あ、うん。……そーそー、これ、……」


柚は紙袋を両手でもって膝に置くと、何?と首を傾げてる美也子に、何からどう話そうかとしばし思い巡らせてから。



「美也子さ。藤宮哉汰くんって、知ってる?」





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