目覚めると、私は誰かの腕の中にいた。

「おはよう」
 と唇にキスをされて、ぼんやりと焦点の合わない目を擦る。

 抱きしめられている感触はどう考えても裸だ。秋口の肌寒さに身をよせるように密着している。

 つむじにもう一度唇を寄せられて、熱いため息が落ちる。
 
 彼の肌からはムスクやアンバーのようなセクシーな香りがする。それから……男らしい喉仏や、セクシーな鎖骨が目に入った。

 待って……私、どうして……。何がどうして、こうなっているんだっけ?
こんな風に抱き合う前の記憶がない。

 ただでさえ鉛のように重たい身体は、この美麗なカラダに組み伏せられて動けない。ただ声の主の顔だけは、だんだんとはっきりしてきた。

 私の上に覆いかぶさって、頬を両手で包んでじっと見つめてくる彼――どう見ても、社長にしか見えない。

 艶やかな黒髪からのぞかせる、意志の強そうな眉の形、跳ねあがった長い睫毛、透きとおった瞳はまるで黒曜石のように綺麗だ。

 これが夢じゃなかったら何?

「……どうして、社長が」 

 美しい面立ちに見惚れていると、ゆるゆると腕を離された。すると密着していて見えなかった部分が露わになる。

 私の目に飛び込んできたのは、逞しい大胸筋や、美しく割れた腹筋……その下は……何も身につけていない! 

 というか私は!? 思わずパッと自分の胸を見て、慌ててシーツを引っ張りあげた。

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