「篠宮。」


翌日、大学のお昼休み。いつも通り、文学部側のベンチに座っている私の名を呼ぶ聞き慣れた声に視線を向ける。


そこには、黒いざっくりと編まれたニットを着こなし片手を上げはにかむ姿。



ベンチのスペースを半分空けてあげれば、彼はにこやかに微笑み隣に腰掛けた。


「理数系は、午後から講義だっけ。」

「うん。マジ眠いんだけど。」



笑い混じりに頭を掻く彼、清水くんは困ったように笑い私の手元にある本を覗き込んできた。


今日は何読んでるの?と聞かれ。ああ、と呟き少しの間をあけ



「アビー・グリーンの、゙愛を知った一週間゙。」

「…どんな話?」

「……ちょっと違うけど、私みたいな話。」

「篠宮みたいな?」




首を傾げて見せる清水くんに小さく笑いかけ、うんと頷いた。


私は、三浦さんの愛人ではないけど。主人公の彼女が抱いた想いと私の三浦さんへ抱く想いは、少なからず似てるだろう。





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