空耳此方-ｿﾗﾐﾐｺﾅﾀ-

言乃は彼女に椅子に座るよう促し、まとめていた荷物を床に下ろし言乃も座る。

ちゃっかり復活した炯斗も言乃の隣に座った。


若干炯斗を不審な目で見る彼女は息を吸ってから語りだした。

「私は、舘見恵(たちみ けい)といいます。
実は、少し困ったことがありまして、その解決に協力して欲しいんです！」

言乃に向かって話す恵。
炯斗は恵を観察する。


ボブよりは長く、襟足あたりまで伸びる髪の毛にカチューシャをつけている。

柔らかい曲線で下がるたれ目は彼女の人柄を表しているのだろうか。
そしてその目には、縁眼鏡がかかっている。


名前といい眼鏡といい…何か親近感っ！


なにともなく上機嫌に頬杖をついて話を聞く炯斗だった。