空耳此方-ソラミミコナタ-

いざ島へ!

数日後
クルーザー・甲板

キミの警告を受けた三人はすぐさま準備をして、本州からほど離れた島、果飲島へ向かっていた。
定期船もなく困っていたところを、ちょうど島に向かうという人の船に乗せてもらっていた。


気持ちのいい海風を切る船の上に、三人はいた。

「…あんのやろう、思いっきりはたきやがって…
あれからさ、2,3日ずっと痛かったんだぜ!?いやガチな話」

「はぁ、ご愁傷様でした…」

キミに殴られた頭をさすり苦しみを切に訴える炯斗に、恵は若干ポケーとしながら聞き、感心したように言う。

「幽霊ってそんな物理的なことも出来るんですね」

【いえ…本来幽霊にはほとんど現世に働きかける力はありません。
ここまで出来るのはケイト君には彼女が見える力があるから、彼女に触れるだけです。
力のない方は何ともないでしょう】

へぇ、と恵は感心して言乃を見つめる。

【本来、幽霊とは物理的に働きかける力はほとんど持っていないんです。
出来ることといえば、ほんの少し。

キミさんのようにせいぜい湯のみを倒したり、カーテンを揺らしたり、ものをカタカタ言わせたりってもんですよ】

「……逆にそういう方が私たちには怖いんですが」


そうですか?という目線で見つめ返してくる言乃をみて、やっぱ何かズレてるなぁと思う。

ズレてると言えばもう一人───

そのもう一人が、言乃と会話していた恵の背中に言葉を投げた。

「ねぇ恵ちゃん、俺の話聞いてる?」

「あ、ごめんなさい。言乃ちゃんと話してました」

「……トホホ」




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