「おぬし…何か隠し事をしとりはせんか?」


――仕える主君・豊臣秀吉が顎ひげを撫でながら上座から話しかけて来た。


「は…、隠し事などは…」


「そうか?お前の仏頂面が今日は浮かれて見えるが?」


…そうだろうか?

そう思いながら三成はつい自分の顔を手で撫でた。


「まあよいよい。もしや…女でもできたのか?」


「!い、いえ、そのような…」


完全にからわかわれているのは目に見えていたが、三成はいつものようにまた冷静さを取り戻すと深々と頭を下げ、退出を乞うた。


「我が屋敷に客人が宿泊中ですので…これにて」


「ふむ?客人とは珍しいな?お前にも友人が居たのだな」


そう言いながらからから笑った主君を軽くひと睨みすると、どこか急ぎ足で三成は歩き出した。


「ちゃんと町へは行けたのか…」


あの女子のことを考えると、ついはらはらしてしまう。

本来ならば主君の秀吉の耳に桃のことを入れなければならなかったのだが…

何故か三成はそれをまだ話せずにいた。


急いで愛馬に乗ると一目散屋敷の門を潜り、慌てて出てきた大山が手綱を引いた。


「三成様?お早いお帰りで」


「桃は?」


「三成さん、お帰りなさいっ!」


目線を下げると、そこには首を痛そうにしながら見上げている桃が居た。


「あ、ああ…今帰った。町へは行ったのか?」


「うん!今日もお夕飯は私が作ったんだよ!」


そう言いつつ桃は馬の回りをぐるぐると回り出した。


「この馬、乗ってい?」


返事をする間もなく桃はえいっ、と掛け声を上げてひらりと馬にまたがった。


…その際、もちろん下着は丸見えで、

それを2人ははもろに見てしまい、首が千切れんばりの勢いでその光景から目を逸らす。


「わあ、たかーい!…あれ?どしたの?」


桃に口やかましく説教してやろうかと思ったが、三成はそれをぐっとこらえて踵を返した。


「女子が馬に乗るものではないぞ」


「女子とか男子とか関係ないよー。ね、今度二人乗りしよっ」


からから笑いながら桃がついて来る。


そんな桃につい笑みがこぼれた。

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