雨と傘と

朔人①

廊下で、幸葉と兄貴が話している。少し距離があるけど、兄貴の締まりのない表情が見えた。

その優しさで幸葉を無条件に甘やかすんだ。俺も人のことは言えないが…

兄貴が幸葉の髪に手を伸ばす。けど、いつもと様子が違う。
あんな手つき…


その瞬間、幸葉が…赤くなった。


俺や兄貴が触れることは日常茶飯事で。いつもただ嬉しそうにしていたのに。あんなに恥ずかしそうな顔…


くそっ!


そちらに足を踏み出そうとした瞬間、
あ、景さんが割り込んだ。

ナイス!!

てか、あの人、絶対俺に気付いてる。
ちらちらこっちを見てニヤニヤするのはやめてほしい。でも、兄貴と幸葉の間にわざと入ってくれたんだ。あの人は、兄貴の親友でもあるけど、俺のことも大切にしてくれる。俺たち兄弟のことをよく分かってる。そして、周りのこともよく見えている頭のキレる人だ。なのに、なんであんなチャラいキャラなんだ…。


はあ。


引きずられる景さんを見送って、教室へと向かった。

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