雨と傘と

幸葉③

「ちょっとちょっとちょっと!!!何アレ!!!!かっこよすぎでしょ!?」

小峰の声は、朝からでかい。
私は自分の席に引きずられて行った。

春にいは、朝から甘い雰囲気を無駄に垂れ流していた。学校に着いても手を離すどころか、全く気にもしない様子で校内をずんずん歩いていくし。私はあんまりにも恥ずかしくて、マフラーに顔を埋めてたけど、そこから春にいの匂いがするので余計にドキドキしてしまった。もう訳が分からない状態で、教室まで連れてこられて

…アレだもん。

春にいがあんなことするから、みんなの注目浴びちゃったよ…クラス中の視線がチクチク刺さる中、小峰に昨日のことをもぞもぞ説明した。彼女は「きゃー!」とか「フ――!!」とか奇声を発しながら話を聞き、最後に感想を述べた。

「いやでも、先輩、岬にベタぼれって感じ。さっきのキスもさぁ。おでこに岬命って書いてあるようなもんだよ。…ていうか!!甘すぎるっ!!見てるこっちが溶ける!!」

「私も、そう思う。」小声で肯定すると、
「惚気るな!!」と、叱られた。

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