生贄。

だから頭を下げたの?

『どうぞ。こちらでお休みくださいませ。御用の時は呼び鈴を遠慮なくお使いください』

あ、そうでした。
侍女らしき女性にに連行(?)されている最中でした。
木のドアが開かれ、背中を優しく押され……、ドアを閉めて侍女さんは去って行った。

「なんて言ったのかな? 言葉、全く分からない」

でも、背中を押してくれた手は優しかった……温かかった。
悪意は感じなかった。
見回した室内は薄暗かった。
電気が無いみたい。
壁のランプだけが頼りで……。
広間はとても明るかったのに。
薄暗い部屋より、窓の外の方が明るい……月明かりだ。
ソファーとベットがどーんと置かれた薄暗い部屋は、なんか不安で……。
月明かりに誘われるようにベットを乗り越えて、テラスへ出た。

あ、ガラス戸……ガラスはあるんだね。
外側に押すと簡単に開いたから、ちょっとびっくり。
閉じ込める気は無いんだ。
逃げられないようにしないってことは……生け贄説は除外です。

「外……お庭?」

外は見事な庭園だった!
うわ~。
入場料を払ってもいい、ここは!
雑誌で見たイングリッシュガーデンみたい。
満月の下で……幻想的な風景に絶句。

あ、月は1つだ。

地球からの眺めと同じで……なんか安心した。
東屋を発見!
さっきのベッドから毛布とか持ってきて、ここのベンチで寝よう!
気温はそんなに低くないし。
薄暗い部屋より、明るい月の下のほうが良い!
私は急いで部屋に戻り、毛布を抱えて寝床を作った……大満足。
枕は羽枕で、低反発枕愛用の私にはちょっと柔らかすぎるけど。
これはこれで嫌いじゃない。
周りは花がいっぱいで、良い香り……深く吸い込むと、心が落ち着いてくるようだった。

「……え?」

薔薇に似た花々の上を何か飛んでる……。
白くて、きらきらして……? 
なんだろう?
蛾かな?
蛾にしては大きすぎる。

小型犬位ありそう。
危ない生物だったら、どうしよう。
でも、はっきり見たい!
確認したい!

だって、だって!

あの飛んでる生き物……私には【竜】に見えるんだもの。

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