苦く甘い恋をする。
でも、栗林さんは動じなかった。


それはきっと、きちんとした信念やプライドのもとに仕事をしているから。


はぁ……。


私は、お客様のいない隙を狙って、小さく息を吐き出した。


お客様にも社員にも、いつも見られているこの状況。


ホント、気が抜けなくて、ホント、疲れる。


なんだろ、オリの中の動物達と同じ気持ち?


いつも見られることを意識して、落ち着けない、神経が休まらない。


呼吸が浅くなって、苦しくて、深呼吸をしても、上手く空気を吸えてる気がしない。


はぁぁ……


私は栗林さんに気づかれないことを祈りながら、もうひとつ小さなため息をこぼした。
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