苦く甘い恋をする。
降りようと片足外に出していた足をまた車内に引っ込め、後ろを振り返るようにして、視線をシートに向けた。


すると……。


「バカだな、こっち」


ふわりと声が揺れ、軽く引き寄せられた。


「……お約束だけど?」


そんなセリフの後には、私のおでこに触れる優しい唇。


「……な……な……な!?」


びっくりして飛びのいて、私はおでこを両手で押さえた。
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