その週は、悪酔いが抜けきれずに始まった。

彼と話したこと。

それが、千華を悪酔いさせているのだと思った。
ほんの少し嬉しくて、でもそれ以上に切なくて、寂しい酔い……。
なるべく実家に帰るのを、控えよう。
もちろん、実家に帰ったからといって、彼と会うわけではないけれど……、ばったりと顔を合わせる確率は高い。
少なくとも彼が実家に帰省しているだろうと思われる間は、千華は自分の実家との連絡はなるだけ避けようと思った。
夏美のいうように、家が隣同士でばったりなんて会ったら、また二日酔いするほど酒に手を伸ばしそうだ。
……そう思っていた矢先に、実家に顔を出さなければならない用が出来てしまった。
神様はちょっとした悪戯をするのものだ。
いくらクリスマスが近いからって、こんな意地悪しなくてもいいのにと、千華は思う。

――千華、あんたいつ帰ってくるの? 今年は早めに実家に戻りなさいよ、早めというか……できるなら今週末に、1度戻ってきて?――

母親の電話があったのは週の半ば。
兄嫁が無事に男の子を出産したというのだ。
週末に産院から戻ってくるのでいろいろ手伝って欲しいという。

―――あ、戻ってくるなら、クリスマスツリーを買ってきて。我が家には小さな子供がいないから昔のものは処分しちゃったのよ。今ならいろいろ売ってるでしょ?――――

赤ん坊に見せてもわからないよ……そうツッコミそうになったが、あんまり浮かれまくってる母親に、いちいち水をさすのも気の毒だしめんどくさい。
初孫誕生でかなりハイテンションになっているのは携帯電話越しに伝わった。
千華は「はいはい」と相槌を打って、電話を切った……それが三日前。