川島の店に入ると、例年通り、いつもの学生時代のメンバーが揃っていた。

「あ、美夏ちゃんに千華ちゃーん、遅いじゃんか」

藤井の言葉に、美夏は手を合わせる。

「ごめん。もう千華がトロトロしててさあ」

美夏の科白を聴いて、千華は美夏を軽く睨むが(ほんとのコトじゃん)と言外に睨み返されてしまう。
声にはださないものの、はやく(古賀君のそばに)行きなさいよと軽く美夏は千華を小突いて、座敷のほうに上がっていく。

「じゃ、だいたいそろった所で、またまた改めて乾杯といきますか?」

カウンター越しに川島が云うと、乾杯の音頭をとる。
店内はグラスが重なる音と「乾杯」と言う言葉が飛び交う。
千華はカウンターの方に座って、みんなを見つめた。
親友の美夏は座敷で、相変わらず盛り上げている。
こんな集まりの時は、いいムードメーカだ。
みんな、相変わらず元気だな、千華はそんな様子を確認して、そして―――彼に視線を向ける。
瞬間……。


彼の視線と思いっきりぶつかった。


視線を外そうにも外せない。
久々に、雑誌の紙面越しやTV画面越しで見るわけじゃない彼は―――やはりカッコイイ。
いつも遠くにいる彼が、こんなに近くにいる。
こんなに近くに彼を見つめるなんて、もう何年ぶりだろう?
小さな頃、手を取り合った彼の面影が少しある。
笑おうとしたが、顔が緊張して強張ってしまい、ひきつりそうだ。