赤い狼と黒い兎
朱雀


……なのに。



「キレーな銀髪だな!」

「目の色すげー!それカラコン?」



無駄に絡んで来る金髪と赤髪。

正直言わなくても、うざい。しつこい。

なんとかしてよ加奈子。

そんな視線を実際に送ったが、見事に笑顔でスルーされた。

後で覚えとけ、加奈子。



「!(…明日また太陽が拝めますよーに…!)」



…と、加奈子が密かに拝んでいたことをあたしは知らない。



「唯兎、龍希」

「「何だよ朔弥」」

「うるさい。しつこい、うざいよ」



……え、教室の空気が凍ったんですけど。

朔弥くんは未だにブラックスマイル浮かべてるんですけど。

これ同一人物……?



「「す…すいません…」」



ほら見て。2人ともびくびくして抱き合ってるよ!



「ごめんね?うちの2人が」

『え、あ、いや…。別に気にしてないから…』



そう言うと、朔弥くんは何かを考えるようにしてあたしをじっと見た。

な…なんだ…?

あたしの髪色と同じ、銀色があたしを捉える。



「――良かったら、名前教えてくれない?」

「朔弥!?」



女の子みたいな子、ひまくんが明らかに嫌そうな表情をした。

…安心してよ、あたしから関わる事なんてないから。



『………有栖川馨』

「有栖川?すげー名字だな」

「かおるってどんな字?」

『………。』



ああ、ものすごく面倒くさくなってきた。

あたしは仕方なく教えるために、右手を差し出した。



「?、お手?」

『(バカじゃねーのこいつ…)』



そんな視線を唯兎くんに送った。



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