スイートルームの許婚
『ありがとうございます…』


奥様に俺のアラビア語が通じたらしい。


不安に満ちていた瞳が少しだけ、穏やかになった。


すぐさま、藤沢の呼んだ救急隊も駆けつけた。


もともと心臓に持病があって…それか旅の疲れで出た様子。




俺は通訳で二人に付き添うコトに。



「藤沢…」


「何ですか?小早川さん」


「・・・」


藤沢に個人的な伝言を頼むのは気が引けて、呼んだけど、俺は無言になってしまった。


「いや、いい…」
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