アラサーだって夢をみる


ラウンジは係の女性が一人いる以外、客は誰もいなかった。
私だけじゃ申し訳ないかなと思っていると、声をかけられ、窓辺の席へ案内された。

小さなケーキが数種類残っていて、3つほどお皿に盛り付けてもらう。

コーヒーの香りを嗅ぐと緊張も和らいできた。

高層階からの眺めは最高だ。
星を散りばめたような、という表現がぴったりだった。

「東京かぁ」

ここに住んでいれば、三神さんに偶然会ったりするのかな。
そんな事あるはずもないのに。
私、どうかしてる。

「ぷう太どうしてるかな」

ふと真ん丸い瞳を思い出した。
ぷう太と離れて過ごす夜は初めてで、少し寂しい。

メールしてみようかと思った時、背後で話し声がした。
誰か客が来たようだ。

時計はいつの間にか21時を指している。
こんな時間に珍しいと思っていると、隣のテーブルへ案内されたようだ。
でも、窓向きに座る配置なので横は見えない。

私のカップが空なのをみて係の女性が何かお飲み物はと聞いてくれる。 

女性に顔を向けて紅茶をお願いすると、視線の先に座っている人物が見えた。

(えっ?)


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