王子様は囚われ王女に恋をする
止められない思い
部屋に一人残されたアリシアは
恐怖で胸が締め付けられるように痛んだ。

(カイル様が暗殺される…)

そう思った瞬間、床に血まみれで倒れた両親の姿がよみがえってくる。

「…っ」

アリシアは胸の痛みに耐えきれずベッドに倒れこんだ。

カイルがいなくなる。
それを考えただけで息が苦しくなる。

「…そんなのイヤ」

トーマスの放った刺客はすでに王宮に入り込んでいるかもしれない。

「どうしたらいいの…?」

自分の立場を考えると刺客のことなど気にせずに脱出の準備をすべきだとは分かっていた。

でも心はカイルのことでいっぱいだった。

どうして親の仇にこんな気持ちを抱いてしまったのか。自分はなんて親不孝なのだろう。


「…お父様、お母様。許してください」

アリシアはベッドの上で声をあげて泣いた。
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