花咲く原石

02.真意

同じ頃。

「やはり東区域へは、中央区の関所を通って行きましょう。」

出発前にいきなりの経路変更を宣言されたように、シイラとオーハルは中央区の門を目指してまだ薄暗い山道を歩いていた。

コンパスを確認しながら前を行くオーハル。

地図も何も手にしていないシイラは彼そのものが道標だった。

「足元気を付けてください。」

「うん。」

もう飽きるほど交わされた言葉はこの先も出てくるだろう。

相変わらず険しい道に何度も足を取られそうになる。

手が付ける所全てを利用して足を前に運ぶ作業が続いた。

昨日よりも厳しい道だ。

とりあえず難所を抜けて一息着いたとき、高く可愛らしい鳥の声が耳に届いてきた。

「空が白んできた。」

鳥の声に誘われて顔を上げる。

木々の切れ間から見えた空に向けて呟いた。

その瞬間、感じた身体の重みに目を閉じる。

いくら休んだとはいえ、昨日までの旅の疲れが体力を奪っていくような気がした。

心なしか気力も足りていない。



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