初恋タイムスリップ(成海side)



+++~美音side~+++



成海くんと、再会してから、

3ヶ月が過ぎた。


この3ヶ月の間に、会えたのは、

たった、一日。

しかも、数時間で成海くんは帰ってしまった。



仕事が、本当に大変のようで、

しかも、遠い。



でも、会えなくても、連絡が取りにくくても、

繋がりさえなかった10年間を思えば、

今は、繋がっている・・それだけで幸せなんだと思う。



私は時々、成海くんがいなくても、

お母さんに会いに遊びにいくようになっていた。


とても優しくて、お母さんのいない私には、

とても大切な存在になっていた。



「美音ちゃん、さみしくない?」


土曜日は毎週のようにお母さんに会っていて、

二人で買い物ついでに、レストランでランチをしていた。


「大丈夫です。今、すごく幸せです」


私は、お母さんに笑いかけた。


「そう・・・でももうちょっと良に会えるといいのにね・・


そうだ!」


お母さんは、そう言って自分のバッグから手帳を出した。


「えっとね・・・8月8月・・

そうそう、再来週の8月2日の土曜日、良が休みでこっちに帰ってくるでしょ?
その前日が優の年に1度の通院日で、T大学病院に行くんだけど、

美音ちゃんも一緒に東京行く?お仕事かしら?」


私も手帳を出した。


「その日は・・有給取れますけど・・・」


お母さんは手帳を閉じて、うんうん!と嬉しそうに頷いた。

「良の白衣姿・・・かっこいいわよ~」


白衣姿・・・


「それに金曜日美音ちゃんは良の部屋に泊まって、土曜日は

こっちじゃなくて、東京でデートしてきたら?」



成海くんの部屋

東京でデート・・・


「いいのかな……」


お母さんはまた、うんうんと嬉しそうに頷いた。


「当たり前じゃない!

婚約者なんだから!」






< 134 / 143 >

この作品をシェア

pagetop