『短編』紙婚式



「亮が欲しい、って言ってごらんよ」



華奢な指でわたしの髪をゆっくりとかしながら、囁く。



恥ずかしい要求に、小さく首を横に振ると。



「言わなきゃだめ」



と言い終わらないうちに、わたしを刺激する。



「……しい」



「なに?聞こえない」



「……亮が、欲しい」



目を逸らせてまま呟くと、やわらかく微笑んで、



「よくできました」



と、わたしの口を塞いだ。



亮はいつも刺激的で、わたしはいつも快楽の海に溺れてしまう。



その後は、幸せの余韻に浸って、シーツに包まれたまま、亮の腕の中で深い眠りに落ちていく――……。


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