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「来月、佐和の誕生日なんだ」
ずきっ……
佐和さんというのは、陣の彼女だ。
「プレゼント贈らないと、やっぱうるさいから」
「それはそうだよ」
陣、貴方はよく幸せそうに彼女のことを話せるね。
私は、うまく笑えているかな?
佐和さん、貴女は何にも知らないで。
貴女が私の存在を知ったら、どういうふうに感じるの?
大学から真っ直ぐ、ショッピングモールに出かけた。
「何が良いかな~……」
「佐和さんは、どんな子なの?」
陣はちょっと考える。
「ん~、清楚な感じ?」
「はは、陣そういう子好きそうだよね」
二人で並んでいる私達は、他の人にはどんな風に見えているのかな。
大学では、私達は付き合ってると思っている人達も少なくないのに。
だけど、本当はそうじゃないという事実が私を締め付けている。
「それじゃあ、パステルカラーのアクセサリーとかが良いんじゃないかな」
「女の子が身に着けるものなんかわかんねー」
私達は女の子用のアクセサリーが売っている可愛らしい装飾の店に入った。
「こんなとこ、一人では入れなかったかも」
陣の言葉に、私は苦笑する。確かに、男一人で入るのはきついかもしれない。
「どんなのがいいかな」
私は陣の彼女をイメージして、アクセサリーを見つめた。陣も隣で覗き込んでいるけど、あんまりぴんときていないようだった。
「いらっしゃいませ、彼女にプレゼントですか?」
可愛らしい小柄な女性は、店員さんだ。