触れないキス

いつまでも、愛しい人



どこまでも続く、澄みきった青い空。

薄い雲の隙間から、柔らかな日差しが降り注ぐ。

それはまるで、新しい道を歩み始める私達を祝福するかのように。


「もー凛はいつまで泣いてるの」

「だってぇ……あのイケメン副担ともう会えないと思うと~!」

「この団子! 俺が隣にいながらよくそんなこと言えるな!」


卒業式の後、卒業証書を片手に並んで歩く私達。

この思い出がたくさん詰まった廊下を、三人でわいわいと歩くのも今日が最後だ。


凛は桜太くんと付き合ってから、ちょっぴり泣き虫になった気がする。

まぁ、裏を返せば素直になったってことかな。

桜太くんはなんだか嫉妬深くなって、相変わらずケンカばっかりしてる二人だけれど、確実に愛は深まってると思う。


私は美術系の学科がある短大へ進学する。

凛は専門学校、桜太くんは大学。

それぞれが別々の道へ進むけれど、きっと私達の関係はこれからもずっと変わらないはず。

< 124 / 134 >

この作品をシェア

pagetop