翌日の昼過ぎ。


灯里は印刷した資料を片手にパソコンに向かっていた。

灯里以外の課員は全員外出しており、直帰予定だ。

昨日はあれからあまり捗らず、ほとんど進捗はなかった。

――――このままでは、まずい。

と、パソコンの画面を見つめていると……。


「灯里」


聞き覚えのあるテノールの声に灯里はぴくりと眉を上げた。

振り向いた灯里の目に玲士の姿が映る。


玲士はいつになくにこやかな笑みを浮かべて灯里を見つめている。

灯里は思わずゾッとし視線を逸らした。

――――何だかイヤな予感がする。


これは魔性の笑みだ、気を取られてはいけない。

灯里は気付かなかったフリをしパソコンに向き直ったが、玲士はすたすたと灯里の机の横に歩いてきた。


「おれを無視するなんて、お前もずいぶん偉くなったもんだね?」

「……っ」

「お前のその図太さに免じて。助けてやるよ、灯里」

「……は?」

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