悪魔のようなアナタ【完】
<side.玲士>
二人で会議室に籠ってから二時間が過ぎた。
玲士は氷のような目でパソコンの画面を見つめていたが、会議室の扉の隙間から視線を感じ、ふとそちらを見た。
「……?」
玲士はスタスタと扉に歩み寄り、大きく扉を開けた。
……が、誰もいない。
辺りを見回してみても人の気配はない。
「気のせいか?」
玲士は会議室に戻り、バタンと後ろ手に扉を閉めた。
灯里が泣いているのを誰かに見られたとしたら、ちょっとまずかったかもしれない。
けれどここは灯里の踏ん張りどころだ。
ここで一通りのやり方を身につければ今後もいろいろ応用できるはずだ。
灯里の泣き顔を見るのは正直キツいが、ここは頑張ってもらうしかない。
「……がんばれ」
灯里には聞こえない小さい声で呟き、玲士は灯里の横の椅子を引いて腰を下ろした。
<***>