片想い~Love song for you~

my voice



―放課後―


クラスメートが
いなくなった教室は
とても殺風景で
どこかから吹奏楽部の音が
聞こえてくる。


あたしをパシリにした
秋は『職員室行ってくるから、待ってろよ!!』と、
走って行ってしまった。


「もう帰っちゃおうかな…」と
茜色に染まる教室でつぶやいた。



こういう時、
あたしは歌いたくなる。
ふとしたとき、体の奥底で
“歌いたい”
という衝動が溢れてくる。


家では所構わず歌うが、
学校などでそんな事をしたら
頭のおかしい奴だと
思われてしまう。


でも、声出したくて
ウズウズしている。
もう病気だなと思いながら、
ふぅーと息を吐いて、
声を出した。




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