12/23。

金曜の昼前。


灯里は振替伝票を片手に3階の経理部へと向かっていた。

振替伝票や出金伝票などの伝票は各課で作成し、課長の承認を得たあと経理部で決裁される。

伝票は種類によって締日が違うため、それに合わせて作らねばならない。

灯里が手にしているのは月初に他の課から仕入れた部品の振替伝票だ。


「あ、振伝ね~。そこの箱に入れといてー」


入り口近くにいた香川さんが灯里に声をかける。

灯里は伝票を箱に入れ踵を返そうとしたが、その肩をちょいと香川さんが掴んだ。


「吉倉さん、この数日水澤君を見ないんだけど何か知ってる?」

「えっ?」

「今週の火曜から全然見ないのよ~。吉倉さんなら何か知ってるかなって思って」


香川さんは顔を寄せ、声を潜めて言う。

香川さんの言葉に灯里は氷のように固まった。

――――火曜から、いない?


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