彼の声は、低すぎて通らない。


「――すいません」


一緒に食事に行って、彼が店員さんを呼んでも、たいてい気づいてもらえない。



「…何、もう一度言って?」


「ごめん、いいや。
大した話じゃないし…」


普段の会話にも、不都合が生じる。

こうしたやりとりが日常茶飯事だから、ときどき歯がゆい思いもする。

だけどそれ以上に私は…


彼の声が、好きだ。

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密フェチ