「カンパイ☆」

古民家カフェバーのまったりJAZZが流れる琥珀色の灯りの下で、私と塚島さんは白い泡の浮く2つのビールグラスを鳴らした。
すだれで仕切られたテーブル席と、モダンな和風装飾が落ち着く。

「ウマ~」

白い泡の髭を鼻の下につけ、塚島さんが満面微笑んだ。
私は謝罪で頭を下げている時も、ずっと車内での気合のことばかり考えてたのに…。

「白状すると、俺あの担当者すごく苦手で」

塚島さんは泡髭をつけたまま話を続けた。

「だから、ほんとは自分に気合を入れたかったんだ…」

ビールをグイッと飲みほした。
すると白い泡髭がまた増えた。

「松田さん、普段はおとなしくて守りたい感じがするけど、いざとなると俺より度胸あるよ」

黒縁メガネに白い泡髭でニッコリ笑う。
私は酔いが回ったせいか、おもわず言ってしまった。

「塚島さん、顔についてます! 泡が!」
「えっ、どこ?」

きょとんとした表情で、手の甲であちこち顔を撫でるけど、髭はとれない。

「まだついてます」
「え?」

私はテーブル越しに、両手で塚島さんの頬をそっと包んだ。
顔を近づける。
口を開ける。
ペロリ…ペロリ…。
塚島さんの鼻の下のビールの白い泡髭を、私の舌で舐めた。

「とれました」

私はスッキリして言った。
すると、塚島さんは目を見開き、黙ったまま熱をおびた眼差しでじっと私を見つめた…。


 終





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