最初で最後の恋文

Ⅶ、突然

次の日、真琴は生徒会室のドアの前で躊躇していた。
生徒会室の中からは茜たちの騒がしい声が聞こえるので、昨日鍵を持って帰った遥斗が来ていることがわかる。
昨日、遥斗に振られた真琴はどんな顔して遥斗に会えばいいのか困っていた。

「真琴?」
 
真琴が振り返ると、そこには不思議そうな顔をしている香里が立っていた。

「どうしたの?入らないの?」
 
香里は真琴にそう言うと生徒会室のドアを開けた。

「あっ、香里おはよう!!あれ、真琴もおはよう!!」
 
茜は香里の後ろに真琴がいることに気づき、真琴にもあいさつをした。

「おはよう…。」
 
真琴は香里の後ろから小さい声であいさつをしながら恐る恐る生徒会室に入った。
でも、生徒会室には遥斗の姿はなかった。
真琴が、あれ?と思っているとき茜が話しかけてきた。

「さすが、佐伯だよね。これでしょう?昨日撮った帰り道。」
 
茜は真琴に数枚の写真を見せてきた。
その写真には昨日撮ったばかりの帰り道の風景が写っていて、その中に真琴が公園ではしゃいでいる姿が何枚かあった。

「へぇ~。真琴、楽しそうね。」
 
隣で香里が写真を覗きながら言った。
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