HAPPY CLOVER 1-好きになる理由-
「あとね、その丁寧語はやめましょう? ……私の言葉遣いも少し変だけど、これはなかなか変えられなくって」

「……努力します」

「だから!」

「あ、えっと、『努力するね』……とか?」

「そうそう」

 英理子さんは思い切り私の肩をバシッっと叩いた。痛いよ! 本気で!

「舞ちゃんとはとってもいい友達になれそうな気がするの。よろしくね」

「こちらこそ、よ、よろしく」

 正直な気持ち、かなり複雑だった。英理子さんが私のことを友達と言ってくれたのはものすごく嬉しい。こんなにかわいくて素敵な人が友達になろうと言ってくれるのは、何かの間違いじゃないかとさえ思う。

 でも、英理子さんがどうして突然そんなことを言い出したのかよくわからない。それは……その……清水くんと関係あることなのだろうか。

 そういえば昨日英理子さんは清水くんの家に行っていたらしいけど……。

 そんな私の悶々とした想いなど知るはずもない英理子さんは、スキップでもしそうな軽やかな足取りだった。

「もう待ってるかしら」

 ……待ってる? 誰が?

 不思議そうにしている私の顔を見ると、英理子さんは悪戯っ子のようにニタっと笑った。そして時計を見る。

「電車が遅れてなければもう着いたわね。急ぎましょう」

 ……一体何のこと?

 私の心の中を見透かすように英理子さんはまた「ウフフ」と笑う。
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