出会いから付き合うまで。
繋いだ手は…
 翌朝。朝一でメールが来た。結構まめなところがあるのね。そう思って携帯を開いて見ると、挨拶らしき文面が。バイトのこととか、自身のこととかに触れている。その後何通かメールのやり取りをして、夜になったら草加君が寝て、翌朝メールのやり取り、と続いた。
 その翌日。
 電話をしよう、と言うことになった。
 メールをしていて、実はお互い寂しがりやなんだという話になったから。その寂しさを埋めるために、肉声を聞こうと言うことなのだ。
 その日電話をした。勇気を出して。そしたら、友達が泊まりに来ているらしく、草加君はいつもと違う雰囲気だった。ちょっと酔っている?
「楽しそうだね。いいな、若いって」と私。
「いやいや、一つしか変わらないじゃん」と草加君。
「昭和と平成の壁は意外と厚いのよ」
 この電話は草加君からかけてくれたものなので、電話料金が気になった。だから切るね、と断りを入れてから切ることにした。時計を見たら一時間が経っていて、驚いた。一時間がこんなにも短いものだったなんて。時間て不思議。長く感じられるときもあれば、短く感じるときもある。それは主観によるところが大きいのだけど、体感時間って当てにならないよね。
 電話を切って数分後、またメールが来た。「やっほ(笑)」かわいい。そう思ってしまった自分はすでに重症だなって思う。完全に草加君に惚れてるって。でもそれを表面に出してしまうと、周りが煩いから出さないようにしてるの。アド訊いた時から知っていたことだけど、あの日以来草加君とはシフトが重なっていない。
 顔を見たくなった。ああなんだか、顔を見ていないと落ち着かない。このもどかしさ。恋する乙女って感じ? 電話が楽しかったから余計にそう、思えるのかもしれない。だから素直に返信してみた。
――声聞いたら会いたくなっちゃった。
――じゃあ、会う?(笑)
――草加君がいいなら。
――そっちまで行こうか? 迎えに行くよ。
 夜半過ぎ。だから深夜一時だね。日付が変わってるから翌日なんだけど、あたしの感覚では翌日ではない感じ。多分誰がどう考えても翌日と言う感覚ではないだろう。こんな夜遅くに外出するなんて初めてだった。しかも両親に内緒で。胸が高鳴り、動悸が止まらない。両親が起きて来ないか、不安な感情に押しつぶされそうになりながら家を静かに滑り出た。
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