教組の花嫁

 「千葉様、嶋中ほのかさんは、東京に帰られたのですか」

 小波が単刀直入に百合葉に尋ねた。



 「嶋中ほのか。小波さん、なぜ知っているの。・・・。小波さんだからいいか。実は、昨日の夜に帰ったみたいね」

 「どうして急に帰られたのですか」

 小波が鋭い質問をした。



 「私もよくは知らないけれど。教祖様と話し合いをして、そう決心したみたいね」


 「教祖様と・・・」
 「小波さん、これは内緒にしていてね」


 百合葉がほのかの話を口止めにした。

 「わかっています」

 小波が百合葉の目を見て頷いた。


 (ほのかは、教祖様と何を話し合ったのだろう)


 小波は、夜叉のような顔をして自分を睨み付けたほのかの顔を、はっきりと思い浮かべていた。



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