こちらミクモ探偵事務所5

「千尋さん、ちょっと聞こえちゃったんだけどさ……どうして、お父さんの事怒ってたの?」

「えっ?」

羽兎の問いに、一瞬千尋の動きが止まる。
そして、取り繕うような笑みを浮かべた。

「アレは違うんだ!お父さん、私の大事にしているネックレスを無くしちゃって……」

「……」

目が泳いでいる。
こんなにも見え透いた嘘を吐く人がいるとは。

羽兎は眉を寄せ、紘哉は小さく溜め息をついた。

「話したくない、と言うことか……」

「何か言った?」

「いいや、何でもない」

首を振り、手元に目線を落とした。

取り敢えず、全員の聞き込みは済んだ。
後は恵一が戻ってくるのを待つだけだ。

< 92 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop