ロイド自身は気に入らないが、王子のフリをしてばれないように緊張しているよりは、事情を知っているロイドのそばにいる方がまだマシだ。


「わかった、そうする。髪は? 切らなきゃダメ?」
「いや、後ろで束ねておけばいい」


 こちらもホッとした。
 特に思いがあって伸ばしているわけではないが、こんな事で切れと言われるのも不愉快だ。
 寝る前に外して手首に通しておいたヘアゴムで髪をまとめていると、先ほど出て行った初老の紳士ラクロット氏が帰ってきた。


「ヒューパック様、殿下のお召し物をお持ちしました」
「ありがとう、ラクロットさん。陛下の方は?」


 ロイドが服を受け取りながら尋ねると、ラクロット氏は少し頭を下げた。


「いつでも、よろしいそうです」


 頭を上げたラクロット氏は、髪を束ねた結衣を見て少し目を見開いた。
 それを見たロイドがイタズラっぽく笑うと結衣に耳打ちした。


「ラクロットって呼んでみろ」


 結衣は少しロイドを見た後、言われた通りラクロット氏に呼びかけた。


「ラクロット」
「こ、これは……!」


 途端にラクロット氏は思いきり動揺してのけぞった。
 ロイドは声を上げて笑うとラクロット氏に言う。


「これなら問題ないでしょう? 当分時間が稼げそうです。彼女も快諾してくれました」


 誰が快諾したって?

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