「生体実験って、よくやるの?」
「ん?」


 謁見の間に向かい、ロイドの後に続いて廊下を進みながら結衣は尋ねた。

 天井が高く、広くて長い廊下には、二人の他に誰も歩いていない。


「さっき、生体実験のサンプルにするって言ってたじゃない」
「あぁ。オレはほとんどしない。薬学、大脳生理学、生体力学、遺伝子工学、とまぁ一通りかじってはいるが、オレの専門は機械工学だ。生き物の身体を使う必要はほとんどない。どうせ使うなら自分の身体を使う。他人の身体は扱いづらい上に、結果や反応がわかりにくいからな」


 それを聞いて結衣はホッとひと息ついた。
と同時に、はったりで脅されていたのだと知り、ムッとしてロイドを睨んだ。

 ロイドは結衣の様子をおもしろそうにクスクス笑う。


「おまえ生体実験を勘違いしてるだろう。泣き叫ぶ実験体をベッドに縛り付けて、生きたまま切り刻んだりするのを想像していないか? それは実験じゃなくて解剖だ。生体実験ってのは、生き物の身体を使って行う実験の事だ。
基本的に動物実験の事を言う。結果がどう転ぶかわからない実験に人の身体を使う事はまずない。そういう実験をオレは許可していない」

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