『若恋』短編集2
虹色の雪




―――雪?


今朝はやけに寒いと思ったら夕方から雪が降り始めた。

空から虹色の雪が舞ってくる。



「わあ!虹色の雪だあ!」

毎年、今の時期だけ。
根雪になる前の今の季節だけに見られる虹色の雪にりおが目を輝かせる。

紬の着物を着たりおが両手で袂を広げて虹色の雪を集めた。


「きれい!」


空を見上げるりおの横顔が一枚の絵のように美しくて思わず携帯で写メを撮った。


「え?あれ?」

「どうした?何かあったか?」


手に持っていた携帯電話を思わず背に隠す。

写メを撮ったと知ったら頬を膨らませて怒るだろうから見せられない。


「何か音がしたみたいだけど…」

「気のせいだろ」


また空を見上げて舞う雪を集めだしたりおをまたこっそり隠し撮りした。



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