長谷部京介の意外な一面!?



「……」

「……」

「……」

「ちょっと! 彩乃ってば。さっきからなんなのよ!」



 ここは会社の食堂。
 窓際の一番隅っこ。そこが私と彩乃のいつもの特等席だ。

 いつものように定食をお互い頼み、テーブルに運んできた。
 ……のだけど。

 彩乃は先ほどから、ずっと私の顔を覗きこんでは、ため息をついたり、ブツブツとなにかひとり言を言ったり忙しい様子だ。
 それも、私の顔を見て、だ。

 パクパクと食べていた私だったのだけど、さすがに先ほどから人の顔をジロジロ見て、なにやらモノ言いたげな彩乃の様子に痺れを切らしたのだ。

 パチンと箸をトレーに置いたあと、私は彩乃を軽く睨む。
 そんな私を見て、今までで一番大きなため息をついた彩乃。


「ねぇ、さっきから何よ? なにか私の顔についている?」

「ついてない」


 きっぱりと即答する彩乃。
 しかし、その表情は、なにかを言いたげだ。


「じゃあ、何よ? 人の顔をジロジロ見てて。何かいいたことがあるの?」


 私のその言葉を待っていました、とばかりに彩乃はダンと両手をグーにしてテーブルを叩いた。

 その振動でグラスの中の水が揺れる。
 零れはしなかったが、突然の彩乃のその行動に吃驚したのは私だけではない。
 
 周りの人たちも、私たちのほうに視線を一斉に向けた。

 私は、「なんでもないんです」と愛想笑いを浮かべて、事を収めようとしたのだが彩乃は一向にして私の顔を見て不満げなのだ。

 やっと周りの人からの視線がなくなったことに安堵したあと、私は彩乃に向き合った。