天使の舞―前編―【完】
「そういう顔、そそられる。
悪魔の花嫁にこそ、相応しい。」


彼方は眼鏡の奥に、妖艶な笑みを浮かべて、乃莉子を見つめる。


乃莉子は背筋がゾクッとするのを感じて、慌てて彼方から目を背けた。


「お前、イヤラシイ目で乃莉子を見てんじゃねぇよ!」


すかさず悠が、彼方に突っかかる。


「はっ…イヤラシイ?
国に連れて戻ったら、乃莉子を同族にするために、先ずは交わるだろうが。
綺麗事はやめるんだな。」


「まじわっ…!!」


彼方の言葉に動揺して、乃莉子は二三歩後退った。


側に居た悠が、そんな乃莉子をなだめようとした…その時。


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