イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
第1章

1.小さな恋人

「ママーー」


保育園に迎えに行くと、ひときわ明るい拓海(たくみ)の笑顔が目に入った。

危なっかしい足取りで一生懸命歩いてくる、なんていじらしい姿。

あたしの目元は思わずほころんじゃう。


「拓海~、いい子にしてたぁ?」


胸に飛び込んできた拓海をぎゅっと抱きしめて、あたしは思わずすりすりとほおずりした。


「ママー」


拓海は、もうすぐ5歳になるのに、まだ2,3語しか話せない。


拓海は出産時のトラブルで、脳に損傷を受けてしまった。

体も、普通の子のようには動かせない。


かわいそうな、いとしい拓海。


「さ、帰るよ」


あたしは自転車の荷台に取り付けた子供用の椅子に拓海を座らせると。


自分も自転車にまたがって陽気に叫んだ。


「さ、レッツゴー!」

「おー!」
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