北風の吹きすさぶ寒い冬は過ぎていき、春風とともに春が訪れようとしていた。



高校二年生の三学期の終わりに、わたしは剛を家に連れて行き、お母さんに紹介した。


お母さんは剛のことをすっかり気に入った様子だった。


お母さんは次から次に、おいしいお菓子を持ち出してきては、剛にもっと食べるようにすすめた。


お父さんには、もうしばらくの間は、彼氏がいることは内緒にしておくことにした。





春休み。


わたしは初めて、短期間のアルバイトをすることにした。


これまでは、中学時代の同級生と顔を合わせるかもしれないと思い、アルバイトはしていなかった。


でもあれからもう二年半もたつし、わたしの顔をはっきりと覚えている子なんて、そういないだろう。


それに万が一、顔を合わせたとしても、中学時代とは髪型も違うし、わたしが誰だか分からないかもしれない。



わたしが選んだアルバイトは、駅前のお菓子屋さんで、お菓子を包む仕事だった。


一緒に働いている人たちは、わたしよりも年上の人ばかりだった。


それに表に出ない仕事だったので、かつての同級生に出くわす心配はまったくなかった。




その日のアルバイトを終え、家に帰ろうと、店を出たときだった。


わたしはちょうどこちらに歩いてきた誰かと衝突しそうになり、慌てて脇にそれようとしたものの、肩と肩がぶつかりあった。


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