秋になってからも、ますます受験勉強で忙しい日々がつづいていた。


でも一日だけ勉強からはなれて、わたしは剛と遠出した。


行き先は、もちろんあの空が近い場所だ。


わたしたちにとって、あの場所は大切な場所。


毎年秋には、必ず行く場所となっている。




夕日が地平線の向こうに沈むのを見送ってから、バイクに乗り、わたしたちの住む街へと急ぐ帰り道。


わたしたちは、いつもとは別の道を通って帰った。


いつも通る道路が、午後から工事中で、通行止めになっていたからだ。


バイクの上から、見たことのない景色を眺めていたとき、ふとわたしの目に、道端に建つ石でできた小さなお地蔵様の姿が飛び込んできた。


「剛、ちょっと止めてもらってもいい?」


わたしは剛に頼んだ。


「うん、いいけど。」


剛はそう言って、バイクを道路脇に止めた。



わたしたちはバイクから降りて、一緒にお地蔵様の前に行った。


お地蔵様は優しい顔で微笑んでいる。


わたしは美幸の供養のために、お寺の地蔵堂に行ったときのことを思い出していた。




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