史上最悪!?な常務と

「だから、もう社に戻っていいから」


「あ、はいっ、」


常務の言葉でやっと我にかえる。


あれ?

いつの間にか社長の姿もなく。



「あの、
お役に立てず、すみませんでした…」


謝ったものの、
イヤミのひとつでも言われるのだろうか、
そう思ったけれど。


彼は何を言うこともなく、
くるりと背を向けた。


最後まで表情は固いまま。


そんな後ろ姿にアタシは頭を下げる。


少しして顔を上げ、
さっきより遠くなった彼の後姿をぼんやりと見つめながら思った。




…ああ、そうだ。

社長に聞かれた時。

あれって。

結局はアタシのこと、

助けたくれたんだ、
よね…。






< 107 / 493 >

この作品をシェア

pagetop