お隣注意報


「おーわった。」

服をクローゼットにしまいこんで、部屋を見渡す。
うん、キレイよマイルーム。

時計を見るともうすぐ3時になる。

一時間程で部屋の整理が終わってしまった。

もうやることないよなー…?

いやあった。

お隣さんに挨拶に行かなければ。

やだ私、一番しなきゃいけないことなのに!

ドアを開けて隣の人のドアの前にたつ。

インターホンに指を伸ばしたとき、ふと思った。

なんも用意してねぇぇぇ!!!

いいの?挨拶だけで。

別に必ずしも物を与えなければならない訳じゃないからね。

だがしかし、だがしかし。

挨拶だけして

「なにこいつ、なんもねぇのかよ」

なんて思われても嫌だ。

待って。その前にそんな事思う人いるの?

いないよね、いないよ。

そんな失礼な人の隣にすむなんて耐えらんない。

でも私だって相手からみれば失礼な人の分類に入るっちゃ入る。

今だって人ん家のインターホンに指のばしかけてうろたえてる私は変人だ。

変人なうえに失礼ときたらたまったもんじゃない。

なにかしら買いに行かなくちゃ!

ダッシュで部屋に帰り、財布をもって私の住むアパートの階段を駆け降りた。


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