世界が逆転した日

本当に欲しいもの

あれから半年が過ぎたけど、俺があっちの世界に戻ることはなかった。
今までは2ヶ月周期で移動していたのに。

もしかしたら、もう戻れないのかもしれない。
ずっとこっちの世界で生きていかなければならないのかもしれない。

俺はあれから普通に暮らしている。
バンドの活動をこなし、バンドのメンバーとも上手くやっている。
明宏とも仲直りした。

もう戻れないとしても。
何も...不満に思うことなんてないはずなんだ。

こっちの世界は夢のような世界なんだ。

ずっとあこがれていたバンドとしても成功して、家族だって生きている。

ゆみちゃんとはダメだったけど、その気になれば彼女だってすぐに作れる。

明宏とだって、バンドのメンバーとして、友達として一緒にいれる。

誰もがうらやむような人生。
俺もずっとこんな人生にあこがれていた。
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