エレーナ再びそれぞれの想い
5 シュウ ショック! 自分は幽霊 市川まなみ登場!
 学生寮はまだ新しい。
だが、学生の数は少ない。定員を確保するために、一般人も入居させているが、
それでも部屋は埋まらない。
 実は、それには訳があった。
死んだ女子生徒の幽霊が出るという噂がその建物にはあった。
つまり、いわくつき。
よっぽどの物好きか貧乏学生じゃなければ入居しない。
問題となっている部屋は505号室。この部屋だけは、誰もが嫌がって近づきたがらないので物置きとなっている。
昼間、授業や部活に必要な備品を取りに来る生徒たちもこの部屋を気味悪がる。
時折、ガタンと奇妙な音がしたりする。

 なつみは、女子の制服を着せられても登校してくるシュウが気に入らない。
そこでなつみ達は、シュウの部屋に押し掛けた。
「ちょっと、入るわよ」
なつみは、無理やり部屋に入り見回す。そして、机の引き出し、カバンの中、などシュウの持ち物を調べ始めた。
「あっ、ちょっと、何をするんですか?」
シュウの制止を振り切り、なつみ達は家宅捜索を続行する。
さらには、ベットの中までも。
「やめて下さい!」
「特に妙な物はないわね、オタクグッズとかやばい物が出てくるかと思ったが」
「ありません!」
「みんな、こいつの荷物、外に出して」
なつみの指示で、女子生徒達は、シュウの荷物を部屋の外に運び出した。
「どこへ持っていくんですか? 返して下さい」
「今日からこの部屋は部活動の物品庫にするの。だからあんたは505室を片づけて使うのね」
「505って確か、出るんだってね。死んだ女子生徒の幽霊が」
彼女達は、シュウに聞こえるようにわざと噂している。
「そんな……」
「あんた男でしょ」
シュウは仕方がなく、荷物を片づけた。
夜になった。シュウは505号室で独り過ごしていた。
ときどき、奇妙な音がするたびに振り返る。
「えっ、何?」
だが何も変化はない。
シュウは幽霊のくせに幽霊が怖い。無理もない。
シュウはまだ、自分が死んでいることにすら気づいていない。
突然、カタカタと音がし、物が揺れ始めた。そして、それは、徐々に激しくなっていった。
窓が大きく開き、一瞬強風が部屋の中を通り、カーテンが舞い上がる。
部屋の灯りも消えた。
ちょうこその頃、同じ寮の他の部屋でも物が揺れたり停電がおきたりしていた。
あちこちから人の悲鳴や騒ぐ声が聞こえる。
「えっ、うそ!?」


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