エレーナ再びそれぞれの想い
なつみは、愚痴をこぼしながら、無造作に置かれたアルバムを、年ごとに並べ直していった。
はみだしたアルバムを入れな直そうと一冊抜いた時、何冊か一緒に落ちてきた。
なつみは、ため息をつきながら、ページが開いたまま床に落ちているアルバムを拾い集めた。
偶然、開いていたページの集合写真に目をやったなつみは驚いた。
「これは、 市川さんじゃ?!」
表紙年度を確認すると、数年前の物だ。しかも、今と制服が違う。
なつみはなぜ、まなみが写っているのか分からない。
アルバムの年度からいったら、まなみは、既に卒業しているはず。
それとも、留年を繰り返したのか?
「それ、学校が男女共学になる前の写真だよ。ほら、制服が今と違うだろ。
学校の体制が変わった時に今の制服に変わったんだ」
2学年を受け持つ、国語教師が説明する。
この教師は、まなみやなつみなどの1学年は受け持たない。
当然、直接教える事のないまなみが校内にいることすら知らず、もし擦れ違ったとしても、多くの生徒にまぎれ、気づくはずもない。
「写真の市川さんって生徒、どんな生徒だったんですか?」
なつみは、試しに聞いてみた。
「市川は体が弱く、確か数年前に病死したはずだ」
なつみは自分の耳を疑った。
「死んだって、どこでですか? まさか、学校の寮?」
なつみはつい質問を重ねた。
「君の言う通り、学校の寮だ。それからだったな。
寮で市川の幽霊が出るとか妙な噂が広まって、あまり人が寄りつかなくなったのは」
なつみは、驚愕のあまりに言葉を失った。
まなみは幽霊だったのだ。

 まなみは、シュウと仲が良く、しかも幽霊。
死んだ者までもがシュウに協力し、学校にいつまでも居座り続けるのは許せない。
なつみは、まなみを学校から追い出すべきと考えた。
ある授業の時だ。
「では、教科書40ページから誰に読んでもらおうかな……」
担任の佐倉先生は、教室を見渡し、
「じゃあ、市川さん読んで下さい」
あてられたまなみが、静かに立ち上がり教科書を読み始めようとしたその時だった。
「先生、市川さんをあてる必要はないと思います」
突然、なつみが立ち上がった。
「柚原さん、何を言い出すの?」
「だって、市川さんは、死んでいるんですから」
なつみはまなみを指さし睨んだ。
教室の中がざわつき始めた。
「どうして市川さんにそんなひどい事を言うの?」
佐倉先生が注意した。
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